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「ビジネスと人権」は“海外の話”ではない


フランスで初の国外事業に対する「注意義務法」違反判決

近年、「ビジネスと人権(Business and Human Rights)」への対応が、企業経営において極めて重要なテーマとなっています。

労務管理やハラスメント対策だけでなく、サプライチェーン全体における人権リスクへの配慮が、企業価値や取引継続に直結する時代になりました。

そのような中、2026年3月、フランス・パリ司法裁判所は、化粧品ブランド「イヴ・ロシェ」を展開するロシェ・グループに対し、「企業注意義務法」違反を認定し、損害賠償を命じる判決を下しました。

これは、国外事業に関する「ビジネスと人権」リスクについて、親会社の責任を認めた初の判例として大きな注目を集めています。

詳細は、JILPT(労働政策研究・研修機構)の記事でも紹介されています。

フランスの「企業注意義務法」とは?

フランスでは2017年に「企業注意義務法(Duty of Vigilance Law)」が成立しました。

この法律は、大企業に対して、

  • 自社だけでなく

  • 子会社

  • 委託先

  • サプライヤー

などを含めたサプライチェーン全体において、

  • 人権侵害

  • 労働問題

  • 安全衛生リスク

  • 環境破壊

などを予防・監督する義務を課すものです。

つまり、「知らなかった」では済まされず、“リスクを把握し、未然に防止する責任”が求められるということです。

今回の判決のポイント

今回問題となったのは、トルコ子会社における労働問題です。

裁判所は、親会社であるロシェ・グループが十分な注意義務を果たしていなかったと判断し、約4万8,000ユーロの賠償命令を出しました。

これまでフランスでは、国内事業に関する注意義務違反の判例はありましたが、国外事業に関して親会社責任が認められたのは初めてです。

この判決は、

「海外子会社だから別会社」「取引先の問題だから関係ない」

という考え方が、今後さらに通用しなくなる可能性を示しています。

日本企業にも無関係ではない理由

「フランスの法律だから日本企業には関係ない」と思われるかもしれません。

しかし実際には、

  • 欧州企業との取引

  • 海外展開

  • 外国人労働者の雇用

  • サプライチェーン管理

  • ESG投資対応

などを通じて、日本企業にも“人権デューデリジェンス”への対応が求められる場面が急速に増えています。

特に近年は、大手企業から中小企業へ、

  • 人権方針の提出

  • 労務管理状況の確認

  • 外国人雇用管理

  • ハラスメント対策

  • 長時間労働防止

などの確認が行われるケースも増加しています。

「人権対応」は法務だけでなく“労務管理”の時代へ

ビジネスと人権への対応は、単なるコンプライアンスではありません。

実際には、

  • 適切な労働時間管理

  • ハラスメント防止

  • 安全衛生体制

  • 外国人労働者への配慮

  • 相談窓口整備

  • 就業規則整備

など、“日常の労務管理”そのものが人権対応の基盤になります。

つまり、人事・労務の実務こそが、企業の人権リスク管理の中心になっているのです。

BHR推進社労士・JASTI監査対応社労士として

私は、BHR(ビジネスと人権)推進社労士として、企業の人権対応・労務コンプライアンス支援を行っています。

また、JASTI監査対応社労士として、

  • 労務監査

  • 人権デューデリジェンス

  • 外国人労務管理

  • サプライチェーン対応

  • 是正支援

など、実務面から企業をサポートしています。

「ビジネスと人権」は、一部の大企業だけのテーマではありません。

今後は中小企業にも確実に広がっていく分野です。

だからこそ、“問題が起きてから”ではなく、“問題が起きない体制づくり”が重要になります。

労務管理の視点から、実効性ある人権対応を進めていきましょう。



 
 
 

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